9月7日(土)~8日(日)に、第4期、第4回の基礎講座を実施しました。
今回の講座では、中和地域にお住まいの80~90代の方々のお話を聞き、文章にまとめる作業-聞き書き-を通して、その人の人生に寄り添い、農山村で生きてきた人々の歩みや想いに触れることが目的です。
〈1日目〉
〇講義「聞き書きの手法と実践」(NPO法人共存の森ネットワーク 理事・事務局長 吉野奈保子
「聞き書き」における、インタビューの手法を学びました。わかったつもりにならず、丁寧に話を聞くこと、その方の「当たり前」の日々や生業について聞くこと、話し手のどこに光を当てて聞くかによって、その人の見え方も変わる等、今、そこにいる聞き手にしか聞けない話を、どう聞いてゆくのかを学びました。身近な風景も、暮らしも人の営みによってつくられている。一人ひとりの思いが、地域の歴史を紡いでいく。そんなことを「聞き書き」から実感できればと思います。
〇 「聞き書き-インタビュー実践―」
グループごとに分かれ、それぞれ話し手を訪ね、お話を聞きました。今年の話し手は、80代が1名、90代が3名。全員女性です。中和生まれ、中和に育った方。あるいは、外から中和に嫁いで来られた方。農業の経験が豊富な方、山仕事が中心だった方、若い頃に街へ出ていた方、などなど。方言や聞き慣れない用語に悪戦苦闘しながらも、その方が語るお話に引き込まれてゆくと、1時間半は、あっという間でした。
入浴と夕食ののち、夜は山村の暮らしを描いたドキュメンタリー映画を鑑賞しました。
〇映画鑑賞 「越後奥三面-山に生かされた日々-」
(1984年/147分/民族映像研究所製作)
新潟県の北部、山形県との境に連なる朝日連峰に、マタギの村として知られた旧朝日村に三面という集落がありました。民族文化映像研究所のスタッフは、やがてダムの湖底に沈む村の山猟、川猟、採草など山村の生活文化を記録しようと4年間、通い続け、春夏秋冬の暮らしを記録しました。山村の生活を丹念にとらえるとともに、村人たちの想いも記録した貴重な作品です。
中和の80代、90代の方から聞いた昔の農作業や暮らしの様子を映像で見ることできて、より話し手の言葉が鮮明になるようにも感じました。たとえば、下草刈りに「大鎌」を使う様子、雪踏み(雪を踏んで道を作る)など、聞いたお話が、よりリアルに想像できました。
〈2日目〉
〇まとめの作業「聞き書き実習-書き起こしー」
チームで分担し、前日の聞き書きの録音を聞き、メモを読み返しながら、言葉を文字に書き起こしていきます。話し手の口調や方言を丁寧に書き起こす中で、昨日聞いたお話の意味も再確認できました。今後は、インタビュー式の対話を、お話いただいた方の言葉だけで、一人称で語られているように編集しながら、文章をまとめます。聞き取れない箇所や理解できない部分を、何度も何度も繰り返し聞くことで、より深く、話し手と繋がる感覚が湧いてきたという塾生もいました。
11月講座では、まとめた文章を持参し、確認を含め、再度、話し手の方を訪ねる予定です。完成した作品は、冊子にまとめ、ご本人にお渡しする予定です。
さて、来月は、「これからの生き方・働き方を考える」と題し、中和地域にI・Uターンした方々の生き方や働き方を学び、ワークショップを通じて、自分自身の未来のセルフデザインをします。また、地域のつとめ(行事や共同作業、役割)を中心に、地域の方にお話を聞き、身近な自然とコミュニティの中で、どのように中和地区の人々が日々暮らしているのかを学びます。
≪講義資料≫
聞き書きの手法と実践① 聞き書きの手法と実践② 聞き書きの手法と実践③ 聞き書きの手法と実践④