12月7日(土)~8日(日)に、第7回の基礎講座を実施しました。
講座の前日、中和は今シーズン初の積雪。翌日にはとけていましたが、いよいよ本格的な冬の到来です。
さて、今回の講座では、グローバル経済のしくみを概観し、未来のローカル経済について考えるヒントとなる江戸時代の経済や暮らし、精神性を再考しました。また、来年からはじまる 2年目実践講座の内容について、塾生と地元実行委員で話し合い、次回の修了レポート発表のテーマである「X 年後の自分」についてより深く考えるためのワークショップなどを行いました。
<1日目>
〇講義「経済と地域~これからの幸福論~」駒宮博男(副塾長)
経済のグローバル化により、実体経済とは無縁のお金が世界を飛びまわる現状。それを成立させている仕組みや、グローバル経済により引き起こされる外部不経済(格差社会、環境破壊、気候変動、不健康、戦争・紛争など)。グローバリゼーションによってもたらされた数々の不利益に対し、それらを解決するローカリゼーションの可能性を「幸せの経済学」監督としても有名なヘレナ・ノバーグ=ホッジをはじめとする様々な有識者や活動家が提唱している。
無尽蔵に巨大化するグローバル経済から脱却し、哲学がベースにあり地域に根差したローカルな経済への移行が今後は鍵となるだろう。そこで、経済の観点から江戸時代の生活レベルを再考。そのほぼ完成された循環型経済や生活が、未来のためのローカリゼーションを考えるヒントになるのではと考える。
〇ワークショップ「X 年後のわたし」
修了レポートに向けたワークショップ。X 年後の「X」をそれぞれ設定し、誰とどこで、どのような暮らしをしているか等を具体的に考え、塾生同士でその内容をシェアし、よりクリアな未来像を描いていきました。
<2日目>
〇2年目講座に向けた意見交換
真庭なりわい塾では 1年目の基礎講座が終わると、希望者は 2年目の実践講座に参加します。実践講座の内容は、毎年、塾生がやりたいことをまず聞いた上で、地域が求めていることとマッチングさせ、プログラム内容を決定します。
今回、塾生と実行委員が話し合った結果、「お金とエネルギーの地域内循環」(地域通貨と小水力発電)「里山資源を活用したモノ・場づくり」「里山資源を活用した食と薬」の3つのプロジェクトを、次年度の実践講座として実施する予定です。
〇講義「未来のための江戸の暮らし」 澁澤寿一(塾長)
江戸時代、農山村と都市の関係は、生産と消費がワンセットとなっていた。地方から農作物が都市へ届けられ、都市からは金肥(人間の排泄物)が堆肥として地方へ送られた。そして、補修・リサイクル事業が基幹産業であり、鎖国によって閉鎖された中に、循環型社会と自然共生型社会があった。そんな当時の日本を体験した西洋人たちの手記からは、日本人の高い精神性やモラル、幸せそうな姿が伺える。
その後、開国した日本には近代化の波が押し寄せ、労働は GDP の為の労働(Do)に代わってしまったが、これからの未来では、生きる意味を問う労働(Be)に代わるはず。そこでは、持続可能な江戸の暮らしが、大きなヒントになるだろう。
第4期の講義は 12 月で終わり。1月はいよいよ、これまでの基礎講座で得た知識や経験、さらにそこから生まれた夢やアイデアから、塾生一人ひとりが「X年後の自分」を考え、発表します。
これは数年経ってわかる事ですが、その時の発表内容が、今では思いがけず叶っている卒塾生が結構いるのが面白いところ。さらに、それをシェアした仲間は、特別な存在で、それも経年変化で、噛めば噛むほど味が出るスルメのように、じわじわと面白いものになっていきます。
行く年を惜しみつつ、新しい年の希望に思いを馳せましょう。一人ひとりの発表と再会を楽しみにしています。
≪講義資料≫
未来のための江戸の暮らし① 未来のための江戸の暮らし② 未来のための江戸の暮らし③ 未来のための江戸の暮らし④ 未来のための江戸の暮らし⑤