10月5日(土)~6日(日)に、第4期、第5回の基礎講座を実施しました。
今回の講座では、中和地域にI・Uターンをした人の生き方や暮らし方について話を聞き、ワークショップを通じて未来のセルフデザインを行いました。また、地域の共同作業や行事などの「つとめ」を中心に、人と人、人と自然がどのようにつながり地域が成り立っているのかを考えました。
〈1日目〉
〇トークセッション「先輩に学ぶ-私の生き方・暮らし方-」
中和地域に移住した3人に、移住の経緯から今の暮らしに至るまでのお話を聞きました。お話を伺ったのは、東京から移住して夫婦で猟師となり、農業も営んでいる高橋祐次さん、空き家をリノベしながらゲストハウスの開設を目指し、クロモジのアクセサリーづくりや山野草のワークショップなどを行う小林加奈さん、奥様の実家である中和地域に移住後、(一社)アシタカという地域振興会社を設立し、薪を活用したスモールビジネスなどに取り組む赤木直人さんです。
それぞれに中和で暮らすにようになった理由や経緯は異なりますが、複数のナリワイを組み合わせながら、身近な自然とコミュニティとの関わりを大切にしつつ、暮らしていることがわかりました。
〇講義とワークショップ「ナリワイをつくる」 伊藤洋志(LLPナリワイ代表)
『ナリワイをつくる』の著者の伊藤洋志さんに、ご自身がこれまで実践してきた多様で個性的なナリワイの数々をご紹介いただき、ナリワイづくりにおける考え方や方法を学びました。伊藤さんは、ナリワイについて、個人で元手が少なく、多少の訓練ではじめられて、やれはやるほど健康になり、技が身につき、仲間が増える仕事だと定義しています。後半はグループに分かれ、グループの中から一人を選び、その人にインタビューしながら、その人ならではのナリワイをグループ全員で考えました。余っているもの、無駄な支出、特技・関心の三つの要素から、各自が取り組みたい、今から取り組める可能性のあるナリワイを探りました。
〇前期講座の「振り返りワークショップ」
前期講座(全5回)を振り返り、応募の動機から、講座での気づき、自身の変化、今後の生き方・働き方について、3人1組でインタビューをし合い、振り返りを行いました。
〈2日目〉
〇トークセッション「地域で生きる-つとめとは何か-」
中和地区の三つの集落に暮らす三人の方(大美康雄さん、土肥真由美さん、中谷由紀男さん)にお越しいたしただき、集落の年中行事や祭、消防団や地域づくりの活動など、地域で暮らす中で存在する役割(=つとめ)について学びました。同じ中和地域内でも、集落によって行事や祭礼、集まる機会や頻度も違います。コンバインを共同利用し、水道を自分たちで管理する集落もありました。普段から草刈などの共同作業をしたり、行事を一緒に楽しんだり、何かと声をかけあったりしているからこそ、災害時など、いざというときも結束できる。逆に、塾生の多くは、都会に暮らし、地域のつとめや行事がほとんど無く、何も関わっていないことに、トークセッションに参加した中和地区の方が驚いていました。
〇特別対談 市長 太田昇 × 塾長 澁澤寿一
市長ご自身が京都から真庭市にUターンし、市長になられた経緯をお話いただきました。また、真庭市がバイオマスタウンになった背景や今後の可能性についても語っていただきました。
〇講義「これからの生き方・働き方」 塾長 澁澤寿一
全ての物事を経済中心に考え始めるようになった1960年代。そして、今やすっかり経済に支配される私たち。そのボタンの掛け違えを、経済、環境、社会を調和させてどのように直してゆくのか。うわべだけのSDGsではなく、本当の幸せとは何か。十分にやっていけるだけの富とは、どれほどのものか。稼ぎが人生をつくのか。ナリワイ(生き方)に合わせた職業をもつのか。何に命や情熱、時間を注ぐのか。改めて、それぞれの稼ぎ、つとめ、暮らしのバランスを考えながら、それぞれの幸せを考え、丁寧に暮らすことについて、お話いただきました。
次回11月の講座では、「中和の過去・現在・未来」と題し、地域の歴史や成り立ちを学び、地域の未来を考えます。また、住民主体の自治の可能性やその大切さを学びます。
≪講義資料≫