≪第5期基礎講座 入塾式・ガイダンス≫

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8月8日(日)、第5期真庭なりわい塾を開講しました。

新型コロナウィルスの感染拡大により、初回講座の日程は、当初計画よりも1カ月遅れとなりましたが、まずは無事にスタートし、スタッフ一同、ほっとしています。

今期は23名(男性9名、女性14名)の塾生が、真庭市北房地区(旧北房町)に通い、共に学びます。

初日は、真庭市の太田昇市長の歓迎の挨拶から始まり、続いて塾長の渋澤寿一が「真庭なりわい塾の目指すもの」と題した講義を行いました。

1960年代(高度経済成長期)を境に、私たちの暮らしは、効率性や利便性を求めて大きく変化したこと。そのために、地球環境には大きな負荷がかかっていること。都市の暮らしは豊かに思えるかもしれないが、食やエネルギーなど生存基盤は多くは海外や地方に依存している。これからの時代は、「環境」「経済」「社会」の調和が必要であり、SDGsの序文にも記載されているとおり、それは待ったなしの状況であること。私たちが知る唯一の「持続可能な社会」は、私たちの「先祖」の暮らしであり、そこには、たくさんのヒントが隠されていること。これからの私たちは、職業選択ではなく「生き方づくり」が大切であること。

そんな講義を聞きながら、改めて、この塾に応募した理由や動機を振り返る方もいたのではないでしょうか。

その後、塾生同士、1人あたり3分の持ち時間で、自己紹介を行いました。今期は、多くの塾生は岡山県内からの参加。また、その多くは20~30代です。中には広島や大阪から参加される方、そして40~60代の方もいらっしゃいます。

会社員、地域おこし協力隊、教員、薬剤師等、さまざまな職種。そして、里山保全や海外交流、映像制作など、多彩な経験をもつ人たちが今期も集まりました。

これから約1年間、真庭市北房地区をフィールドに、自分自身や地域・社会の将来像を考えながら、学んでいきましょう。

毎年、塾で最初に行うのは「地元学」です。

「地元学」とは、案内役の地域の方と一緒に集落を歩き、森や田畑、家々、神社や祠、水路、風の通り道など、当たり前の風景から、その集落の成り立ちについて読み解く手法です。
今期は、北房地区の4集落に分かれて「地元学」を行います。

田んぼの日当たりはどうか?
水源はどこにあるのか?
この石塔は何か?
畑ではどんな作物を作っているのか?
植林される以前は、どんな風景だったの?

そんな質問を丁寧に重ねていくと、その土地固有の風土や文化が見えてきます。

水、土、光、風が違えば、そこに生える植物も違います。
植物が違えば、食べ物が違うし、道具や建物に使う木も異なります。
農林漁業のあり方も変わってきますし、食べ方や住まい方、信仰や祭礼も変わってきます。
そして、それぞれの風土には、その土地の理にかなった暮らしがあります。

塾長の講義では、「地元学」が水俣から始まったという話もありました。
水俣は皆さんご承知のとおり、高度経済成長期に水俣病が発症した地域です。
水俣病によって地域は分断され、差別や偏見が生まれました。
その人間関係をつなぎ直す。人と自然をつなぎ直す。 そして、世代と世代をつなぎ直すために「地元学」は始まったのです。

昼食後には中津井地区と、同地区を見晴らす高台に出かけました。
山があり、川があり、田畑があり、人の暮らしがある。そのすべては、つながっているはずです。

そんな一見、当たり前の風景を、改めて歩いて、見て、聞く中で、それぞれ新たな発見があるに違いありません。

午後は、来月、各集落をご案内いただく地域の皆さんに、集落の概要を伺いました。次回の講座では、4チームに分かれて「地元学」の実践です。
それに先立ち、8月20日の夜には、オンラインによる補講も予定しています。

皆さん、楽しみに参加してください。

【講義資料】

真庭なりわい塾の目指すもの2021

真庭なりわい塾「地元学」2021