第2期 基礎講座 & 第1期 実践講座がはじまりました!

■第2期 真庭なりわい塾が開講しました!(基礎講座)

真庭なりわい塾では、昨年度に引き続き、第2期の基礎講座を開講しました。今年も定員を超える応募をいただき、25名の塾生が決定しました。

塾生は、年明けまでの年9回、真庭市中和(ちゅうか)地区に通い、共に学びます。

 

5月27日の入塾式では、はじめに主催者を代表して真庭市の吉永忠洋副市長、ついで中和地区住民を代表して中和地域づくり委員会の大美康雄委員長にご挨拶いただきました。

吉永副市長からは、第2次真庭市総合計画にも掲げられている「多彩な真庭の豊かな生活」という言葉をご紹介いただきました。「『豊かな』とは『お金』のことではなく『心』が豊かかどうかということ。それを塾で共に学んでいきましょう」と、心強いお言葉をいただきました。

地域づくり委員長の大美康雄氏からは、近年、中和に移住者が増えてきたことをご紹介いただきました。「新しく移住した人の多様な生き方に学ぶとともに、地域の人が昔から大切にしてきた生き方についても一緒に学び考えましょう」と応援のお言葉をいただきました。

 

入塾式に続いて、塾長の渋澤寿一(NPO法人共存の森ネットワーク理事長)が、「真庭なりわい塾の目指すもの」について、また「地元学」についての講義を行いました。

地元学は、地域の皆さんと一緒に集落を歩いて、家々や田畑、水路、里山の景観等から集落の成り立ちを読み解く手法です。

今回の地元学では、中和地区13集落のうち、初和(はつわ)、一の茅(いちのかや)、別所(べっしょ)、下鍛冶屋(しもかじや)の4集落を、グループに分かれて歩きました。

 

初和集落「水とオオイチョウが見守る『初和』」

かつては35軒の家があった初和集落ですが、昭和29年に完成した湯原ダムの建設で移転を余儀なくされ、今では9軒29人で暮らしています。水が豊かで、南北に流れる生活用水と、東西に流れる農業用水が、集落の中心でクロスしています。水路掃除は今も集落総出で行い、それが地域の人と顔を合わせる一大行事になっているそうです。

 

一の茅集落「神様いーっぱい!『一の茅』」

一の茅は、集落の南北に上杉川という川の流れに沿って家が立ち並び、その外側に水田が並んでいます。集落の皆さんは、農機具を共同で所有しています。訪ねた日は、田植えの慰労と豊作を祈願する「代みて」(さなぶり)が行われており、集落の男性たちが集まっていました。こうした場が、地域の信頼関係の基礎になっていると感じました。

 

別所集落「水と田んぼが豊かな別の所『別所』」

別所は中和のなかで最も北部、鳥取県との県境にあり、標高が高く雪が多い集落です。昔、各家は牛馬を飼っていました。子どもたちは、朝4時に起床し、牛馬のための草刈りをした後、1時間近く歩いて学校に通いました。各家は競い合うように農業に励んできました。現在では、整備された水田が42ヘクタール、広がっています。

 

下鍛冶屋集落「中和銀座『下鍛冶屋』」

かつての下鍛冶屋集落は「中和銀座」と呼ばれるほど人が集まる栄えた場所でしたが、今は、ほとんどの商店や食堂が空き家となり、廃れています。一方で、最近では新しい生き方や働き方を求めて移住する人が少しずつ増えており、「銀座」に賑わいとはまた違った可能性を感じることができました。

 

最後に、塾長の渋澤寿一氏(NPO法人共存の森ネットワーク理事長)がまとめの講義を行いました。

煩わしさから逃げ、便利で快適な社会を目指した私たちは、この数十年で温かい社会を失ってきたのではないでしょうか。共感をベースとしながら、人と人、人と自然、世代と世代がつながることによって、持続可能な社会が実現します。幸せとは何か、生きがいとは何か、未来の社会をどのようにつくっていけばいいのか、みんなで考え実践するのが、真庭なりわい塾です。これから1年間、一緒に学びましょう。

 

《講義資料》

1)「真庭なりわい塾の目指すもの

2)「真庭なりわい塾 初回講座のまとめ

 

 

■第1期塾生による2年目プロジェクト(実践講座)

今年は、基礎講座を修了した塾生を対象に、2年目の実践講座を4月から開講しています。塾生は、「木の活用チーム」「里山の恵みチーム」「農と特産品チーム」「地域づくりチーム」の4つのプロジェクトに分かれて活動しています。

 

「木の活用チーム」は、一の茅集落にあるお堂の修繕や木工製品の製作に取り組みます。これまでの活動では、木の伐採や製材を行いました。また、お堂の修繕方法について地域の方との話し合いを行いました。

 

「里山の恵みチーム」は、里山にある植物を活用して、繊維をとり、織り、布を染めるなどの手仕事を学びます。これまでの活動では、活用できる植物を探して里山を歩き、またシナの繊維の縄綯いや草木染めの基礎を学びました。

 

「農と特産品チーム」は、田畑での農作業を行うとともに、加工品づくりに挑戦します。これまでの活動では、野菜の種播き、稲の苗代づくり、田植えなどを行いました。また、養蜂のための巣箱の設置も行いました。

 

「地域づくりチーム」は、中和地域づくり委員会が実施する「空き家調査」に協力するとともに、中和小学校PTAの皆さんとの子どもキャンプを企画します。これまでの活動では、集落ごとの「空き家調査」とあわせて、子どもキャンプの現地下見等を行いました。

 

11月3日(文化の日)に開催する中和地区の「紅葉祭」には、真庭なりわい塾のブースも出展し、塾生の活動発表や商品の展示販売等を行う予定です。ぜひ、皆様、お越しください。詳細はまた後日、このブログを通じてお知らせいたします。

 

■おわりに

今年度も無事、真庭なりわい塾を開講することができました。各講座へのご協力や宿泊施設としてのコミィニティハウスのご提供など、中和地区の皆さまには引き続きお世話になります。今年度も、真庭なりわい塾をどうぞよろしくお願いいたします。